1. トップページ > 
  2. 転職役立ちコラム > 
  3. 女性獣医師の本音トーク その1 Part2(①働く現場の生の声+②院長への提言)

女性獣医師の本音トーク その1 Part2(①働く現場の生の声+②院長への提言)

女性勤務医,復職,動物病院,臨床現場,改善

女性獣医師の本音トーク その1 Part2(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオ が独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

女性獣医師が臨床現場に復帰するための意見・考え

匿名・女性獣医師(勤務医→院長夫人)

 あくまで一女性獣医師としての意見ですが、女性獣医師が臨床現場に復帰するためには、
  • 時短勤務が可能(9時~17時、午前のみ、週に2日など)
  • 時短勤務をしている人が自分以外にもいる(自分だけだと負い目を感じる)
  • 予防専門病院(治療がなければ、あっても簡単なものなら、長時間勤務が予想されない)
 などが行われていると復帰しやすいです。
 バリバリ他の獣医師が働いているなかで、子供の急な発熱・休校などで休まないといけない状況や、時短で先に帰るということは気がひけてしまいます。

 でも、大動物臨床獣医師(準公務員)のときには、時短の人たちに何も違和感を感じなかったですし、彼女・彼らもそれを負い目とは感じていないように見えました。

 それはなぜなのか?を考えたときに、会社・施設として従業員がたくさんいること、自分がいなくても回るシステムがあったからだと思います。

 大動物臨床では、妊娠がわかった瞬間から、診療業務が危険なものとみなされ、即日事務業務へと変更されます。
 そのときに、自分が今まで見ていた農家(患者さん)は、診療件数が少ないときはそこの診療所でカバーし、多いときは、他の診療所からヘルプを呼んで対応していました。

 すぐに臨床を離れられる、うまく引継ぎができるシステムがあったのだと思います。

 また、臨床に復帰する人も多かったです。

 それは、時短勤務や夜勤の免除ができたことと、出産・育児などを経験してきた4,50代の方が働いていたことがあるのかもしれません。

 小動物の臨床現場では、4,50代の女性勤務医が働いている環境は、一部の大きな動物病院のみに限られます。

 

 例えば分院を持っている動物病院で、分院をまかされているような感じです。

 万が一、分院で重い病気の子が来たら、本院で対応ができるシステムができているのですね。

 

 これがもし、獣医師1,2人の動物病院だとすると、自分が急な都合で働けなくなるなんてことは、絶対に許されないと思います。もう一人の獣医師にかかる負担が大きすぎますからね。

 そのため、子供の手が離れた(高校生くらいになった)場合や子供のいない女性獣医師のみが働ける状況なのかもしれません。

 

 院長が育児などの経験のある女性獣医師だと働きやすいのかもしれません。

友人の開業女性獣医師(開業自体は旦那さん)は、大学の友人何人かをバイトで雇い、「〇日募集!」みたいなかたちでシフトを作っていました。

 

 いろんな獣医師がバイトとして所属している働き方なので、自分が急に働けなくなったときも他の誰かが対応してくれるという強みがあったと思います。



女性勤務医,復職,動物病院,臨床現場,改善

女性獣医師側にできる改善点の提案  ~専門性や得意なことがあるといいのかも

以上は動物病院側に焦点を当てましたが、女性獣医師自体にも何か改善ができるのかもしれません。

 例えば、循環器が得意で心臓のエコーのスペシャリストなら、非常勤で何の負い目もなく勤めることができます。むしろ重宝されると思います。

 スキンケアについてくわしいのなら、〇曜日は皮膚科の○○先生みたいな形で採用してくれるかもしれません。

 
 自分の得意分野があれば、強みを生かした働き方ができるのかもしれませんね。

 (自分は臨床を4年行いましたが、それ程度では強みなどできませんでした。)


 私の周りには、いわゆる専門性をもって働いている女性獣医師はいませんが、男性獣医師の場合には、何人かいます。

 例えば、循環器に特化した獣医師は、動物病院を何件か掛け持ちをし、各々の動物病院に月に1~2回出向くという出勤をしています。

 大学病院で勤務したり、子育てをしたりと、自分の都合も優先して働いているようにみられます。

  専門性が必要な分野ならば、動物病院としても勉学や症例の精査、イメージの向上に非常に役立つと思います。

 女性獣医師も専門性を持つことで、様々な働き方ができるのかもしれません。

 

【追記  コンサル・西川からの匿名先生への質問】

西川:匿名先生の周りに専門性をもった女性獣医師はいないとのことですが、女性獣医師が専門性をもつことへの何か障害のようなものがあるのでしょうか。

 

匿名先生:女性獣医師は30歳前後で離職してしまうからと思います。

 獣医師が専門性をもてるようになるには、一次病院で4年から5年働いた後に「特化したスキルが欲しい」と大学院とか二次病院に行く形になるので、専門性をもてた時には35歳を超えてしまいます。

 女性は35歳までの間に結婚、出産などで辞めてしまう人が多いので、結果として、専門性をもっているのは男性が多くなっているのが現状ということです。

 ゆえに女性獣医師は専門性をもつことで、自分の強みを活かした働き方ができるのではと思います。

 

女性勤務医,復職,動物病院,臨床現場,改善

【まとめ】女性獣医師の現場復帰に関する率直な意見や体験談・現状

 女性の勤務者が多い人間の看護業界において、出産育児をおえた(もしくは進行形でしている)方の勤務はとても多いです。

 しかもとても大変でキツイ職業だと思います。

 それなのに多くの女性が働けるのには、ある程度人材が確保されていること、誰かがいなくてもまわるシステムがあると言うことなのだと思います。

 女性獣医師の働き方については、もしかしたら見習うところがあるのかもしれません。

 

 これからは介護の問題なども出てくると思われるので、チームプレイなどを通して、なにか働き方の環境が変わればなと思います。

 

 

 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。