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オーナー経営病院の厳しい労働環境こそが開業医を生み出し続けて来た

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5.オーナー経営病院の厳しい労働環境こそが開業医を生み出し続けて来た

 ※この記事は、メディカルプラザが2021年に全国のほぼすべての院長向けに発行した経営情報誌から、就職・転職、そして復職を目指す獣医師(勤務医)に重要な情報をピックアップして加筆・リライトしたものです。

1.オーナー経営の動物病院について

 事業承継でリタイアした60歳以上の元院長に聞くと、ほぼすべての先生が「若い頃は非常に厳しい労働環境でした。大学時代も大動物中心なので小動物の授業はなく、大学を出て勤務しながら小動物臨床の勉強をしました。お金が無く、借金しての開業スタートでしたが、その借金があったお陰で頑張ることができたと思います」と仰います。

 そして承継開業した30代、40代の新院長に聞いても、「勤務医時代は毎日が忙しく、ブラックと言っていいほどの労働環境だった」と仰います。なかには、「まさに修行でした」と表現される新院長もおられます。

 現在は「ゆとり」を重視した労働環境の改善を国を挙げて推進しているため、こうした厳しい労働環境は「ブラック」とレッテルを貼られて敬遠される傾向が強まっていますが、休みやゆとり重視では獣医師としての技術・ノウハウを習得、伸ばすことはできず、ましてや開業医を目指すのであれば、他者の2倍、3倍の努力が必要です。「ブラックだ、厳しい」と受け止めている段階で、どんどん開業から遠ざかっていると言ってもいい位です。

 コンサルタント西川芳彦は、これまでに500人以上を勤務医から開業医にして来た経験から、次のように言います。

 「20代でどんな働き方をして来たのかで、獣医師としての生涯が決まる」

 

 つまりは、どの動物病院に勤務するかは獣医師の一生を決めることになると言うのです。

 

 転職先を選ぶ上で、将来の目標があるならば、喜んで「より苦労させてくれる病院を選ぶこと」が大事です。多くの承継開業の新院長も、「より厳しくしてくれる動物病院をあえて選びました」と、勤務先病院の決定要因を挙げています。

 この厳しくしてくれる労働環境にあるのが、オーナー経営の動物病院です。

 

 

2.一般企業では、若者たちが安心・安定を優先して起業家は減少した

 動物病院業界は獣医科大学時代から開業志向の若者が多く、勤務医になって以降も自分の老後を考えたことをきっかけとして開業に踏み切る人もいるので、新たな開業医(起業家)を生み出し続けている業界であると言えます。

 しかし、幾多の不況を経た一般企業ではどうでしょうか。

 

 2021年の「高校生のなりたい職業TOP10」(LINEリサーチ調べ https://research-platform.line.me/archives/38840930.html )で、教員・大学教授、国家公務員・地方公務員がTOP2となりました。小学生への調査では、YouTuberやサッカー選手、パティシエが上位にきていますが、就職先を具体的に考える年齢になると、安心・安定志向が強なっていることがこの調査から分かります。

 そのため、リスクを取っての起業志向の若者は減少しています。

 日本は1990年を境として、高度経済成長の時代から低成長、マイナス成長の時代へと転換してしまいました。

 なぜ平成に入った以降に経済成長が低迷してしまったのか、その理由の1つに、この若者たちの意識の変化、リスクを避けて安心・安定を求める傾向が強くなったことが挙げられるのではないかと思います。

 動物病院業界においても、リスクを覚悟で開業する人が減った時こそ、本当の危機の時代がやってきたと言えるのではないでしょうか。

 

 起業家が減少したことで、いつしか日本経済は活力を失い、バブル崩壊で発生したデフレを未だに脱出できない状況にありますが、一方で、昭和・平成・令和という3つの時代を通して起業家を出し続けている企業があります。江副浩正氏が創業した株式会社リクルートです。

 

 

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株式会社リクルート

 ・なぜリクルートは今なお起業家を排出し続けられるのか。

 ・起業家を生み出している労働環境はどうなのか。

 

 この2点について、リクルートOG(起業家)に話をお伺いしたところ、その理由が見えて来ました。

 それは、「創業者・江副浩正氏の思いが何世代にも渡って受け継がれて、イズムとなって現在に活きている」ことでした。

 さらに起業家を生み出す労働環境は「修行」と言っていいほど厳しく、「ゆとり・休み」優先ではとても起業などできないことも見えて来ました。

 

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一般企業と動物病院業界の違い

3.動物病院業界における起業(開業)はどうなのか

 同じことはこの動物病院業界にも言えます。

 企業病院が台頭して来たことで、就職先、転職先や復職先を「ゆとり優先」で選ぶのか、厳しくてもスキルやノウハウが磨けるオーナー経営病院を選ぶのかによって、獣医師としての人生が決まってしまう時代に入っています。

 そして自治体・東京都への「開設届出」緊急調査から、「獣医師は開業しなければ、老後までを含めた生活が成り立たない職業である」ことも見えて来ました。

 

 メディカルプラザの人材紹介業「ベテリナリオ」は、勤務医の人材紹介・転職をマッチングした動物病院に転職成功するまでをゴールとは考えておりません。その理由はこの点にあります。

 転職や復職が成功した時点で人材紹介業の本来の役目は終わりますが、転職・復職者にとってはそこからが自分の未来、老後を決める人生のスタートであるとベテリナリオは考えるからです。

 ベテリナリオは、動物病院業界がこれからどうなるのかを見据えた上での転職サポートを行っています。ベテリナリオの転職の考え方は、このサイトのABOUT USで詳しく説明していますので、ご参照下さい。

 メディカルプラザの人材紹介業 ベテリナリオは、これからの動物病院の二極化に対応できる繁盛病院を転職したい勤務医にご紹介していくとともに、女性勤務医の長期雇用についても院長への啓蒙を行い、現場を離れている女性勤務医の復帰、復職などについても積極的に取り組んでいかなければならないことと考えております。