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【元院長の証言 3】 開業に至る獣医師の共通点はどこにあるのか?

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10.【元院長の証言 3】 開業に至る獣医師の共通点はどこにあるのか?

※この記事は、メディカルプラザが2021年に全国のほぼすべての院長向けに発行した経営情報誌から、就職・転職、そして復職を目指す獣医師(勤務医)に重要な情報をピックアップして加筆・リライトしたものです。

 この小動物臨床の動物病院業界は、できてまだ100年に満たない業界です。

 その上、これまで不況と呼ばれる状況、病院がどんどん潰れていくようなことは起きて来なかった業界であると言えます。

 しかし、2003年に動愛法が改正されてブリーダー業者やホビーブリーダーの数が激減したことで始まった「犬の少子化」が、この動物病院業界にダメージを及ぼしています。

 一般企業で言うところの好景気が長く続いたことで、ある年代の獣医師までは開業するのが当たり前といった時代がありました。

 今では、獣医師資格者の半分以上が臨床ではなく、公務員や企業の研究所などに就職していきます。この小動物の臨床獣医師になったとしても、企業病院勤務か、オーナー経営病院勤務かの選択ができる時代に入っています。

 

 メディカルプラザでは、獣医師という職業は、一般サラリーマン並みの退職金や老後年金がもらえないために「終身勤務医」を目指すことは将来にリスクを抱えることになるため、若いうちにスキルを磨いて開業医になることが本当の安心・安全になると提言して来ました。

 そこで、開業する先生としない先生、開業に至る先生にはどんな共通点があるのかを元院長に伺いました。

 

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【証言者 1/匿名院長】

 

●29歳で分院を任され、その動物病院を譲り受けて開業。40代に事業承継でリタイアした

 

コンサル西川:同じ勤務をしていても、開業する先生としない先生に分かれますが、開業に至る先生にはどんな共通点があるとお考えでしょうか。


元院長: 私の意見ですが、実力は関係ないと思います。3年以上やっていれば、手術などのスキルの差はありますが、開業するに足りる実力はつく。開業医になれるか否かを分けるのは、「リスクを負えるかどうかにある」と思います。
 そして開業した後に問われてくるのが、院長として何があっても耐えなければならないという、根性、精神力があるか否かです。

つまりは、獣医療の実力よりもリスクに耐えられるかどうかが開業するには必要であると私は思います。

 

 

コンサル西川: 先生がこのリスクを負う気になったきっかけは何だったのでしょうか。

元院長:私も安定を求めていたとは思いますが、自分が生きるためにはチャレンジしていくしかありませんでした。そのチャレンジの場が開業でした。

 29歳で分院長になったのが、このチャレンジの始まりです。私の性格は考えるよりも先に行動ありき。自分に合わないと感じたら、どんどんステージを変えて挑戦していったことで、結果的に分院長になり、その病院を譲り受ける形で開業することになりました。

 

 

コンサル西川:先生が勤務されていた動物病院はどんな病院だったのでしょうか。


元院長:院長はどんどん勤務医に任せていくタイプの方でした。色んな手術を任せてもらえたので、若いですからガムシャラに働きました。
 実力主義の病院でしたので、チャンスを生かすかどうかは自分次第という労働環境でした。そんな環境の中で私はクビにならず辞めることもしなかったので、今があります。
 そして院長は凄まじく向上心が高い方で、病院を大きくしたいと強く思っておられました。その姿を見て、私は育ってきたと思います。


コンサル西川:やはり、最初に勤務した病院の影響は大きいと言えます。先生は動物病院を億越えのブランド病院に成長させておられますが、その要因は何だったのでしょうか。

元院長:決して順調に成長したわけではありません。一番苦労したのは、ヒトの問題でした。定着してくれるスタッフが少なかったことです。

精神的に深刻に悩んだこともありましたが、ここまで来れたのは、やはり途中で挫けることがなかったことの一言に尽きると思います。

 

 

コンサル西川:現在、新院長に承継した後でも、ホームページでは「年中無休」などが病院の特徴としてアピールされています。これは先生が勤務医時代から厳しい労働環境にあったことを反映してのことだと思うのですが。


元院長:今からすると、当時の動物病院は厳しい勤務体制だったかもしれません。20代は「それが正しい」と思って、ガムシャラに働いていました。
 ただ開業してから「年中無休」としたのは、1日休むとホテルとか急患とかに対応できないので、年中無休であれば誰がしかスタッフが居るので対応できると考えてのことです。
 「まずはやってみる」という私の性格で、「年中無休」などがいつしかこの動物病院のアピールポイントになってきました。
 また、凄まじく向上心が高くて、年中無休で夜間もやって手術をなんでもやる、勤務先病院のある意味スーパーマン的な院長の強い影響を受けているとも思います。今でこそ言えますが、当時の院長があったからこそ今の私がある。そこには当時の院長に敬意を示したいと思います。

コンサル西川:先生の話から、開業者をつくるには、やはり厳しい労働環境の中で20代はガムシャラに働くこと、そして最初に勤務した病院の院長がどんな人物であるのかも大きく影響していることが見えきました。

 

メディカルプラザの人材紹介業 ベテリナリオは、これからの動物病院の二極化に対応できる繁盛病院を転職したい勤務医にご紹介していくとともに、女性勤務医の長期雇用についても院長への啓蒙を行い、現場を離れている女性勤務医の復帰、復職などについても積極的に取り組んでいかなければならないことと考えております。