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急に退職したスタッフ…その責任は誰にあるか?

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女性獣医師の本音トーク その54 Part1(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

急に退職したスタッフ その責任は誰にあるか?<前編>

 
〇匿名女性獣医師
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予定外の退職者、そのたびにミーティングをするも改善されない職場

 私の勤めていた動物病院では、動物看護師(AHT)が突然来なくなり、そのまま退職するというケースが何度かありました。

 

 親族の病気、自身の精神状況など、退職理由はさまざまでしたが、繰り返し起こる人事のトラブルに際して、院長夫妻の対応はいつも同じでした。

 来なくなった退職者と連絡を取るのはAHTのチーフで、予定外の退職者が出るたびにスタッフ総出で緊急ミーティングが開かれました。議題は必ず「どうして彼女(彼)は急に辞めてしまったのか?」「再発を防ぐにはどうしたらいいのか?」です。

 

 

 辞めた理由については、私はいつも「勤務時間が長すぎるからじゃないですか?」と答えていました。

 しかし、院長夫妻からは「それは問題じゃないだろう」と叱責され、AHTのチーフからは「私が新人の頃はもっと大変だった!」と言われました。

 当時、AHTは朝8時半から22時まで、繁忙期である4月と5月は毎日24時まで休憩なしで働いていたので、これが退職理由にならないわけがないと思います。実際、急に来なくなってそのまま退職してしまったAHTの1人からは「体力の限界です」と言われたそうです。

 それを聞いた時には「ほら、やっぱり勤務時間じゃん!」と思ったのですが、院長夫妻は「最近の若者は根性がない」や「お世話になった病院への恩義はないのか?」などと、本人の人格の問題として片付けていました。

 

 また、院長夫人がAHTに対して「事前に悩んでいる素振りはなかったの?」とスタッフマネジメントの問題を責めたり、「いじめはなかったのか?」と、人間関係が原因ではないかと詰め寄ったりすることもよくありました。

 そんなとき、院長は「もっと後輩に優しくしてあげなよ」「まぁ、問題のある人は辞めてもらってよかったじゃん」と、どこか他人事のように振る舞っていました。

 

 

 当時、残業時間の長さは病院の中でも問題になっていて、それに対するスタッフミーティングもよく行われていました。

 しかし、残業を短くするために残業して話し合いをしている状態で、特にこれといった答えが出ることなく、ただ時間だけが消費されていきました。この時も、院長夫妻は「残業時間を減らしなさい」と言うだけで、その方法についてはスタッフに丸投げでした。

 

 

 

【追記  コンサル西川からの匿名女性獣医師への質問】

コンサル西川:文中の「残業を短くするために残業して話し合いをしている状態で、特にこれといった答えが出ることなく」の部分ですが、この結論は労働時間を減らすか、給与を上げるかだと思うのですが、この問題をスタッフに丸投げされても、決断できるのは院長だけなので、どうにもなりません。

 現場サイドで残業を短くする工夫がどこまでできるものなのでしょうか。 

 

匿名女性獣医師:早く帰れる人と残る人に分ければ良いと考えましたが、私が勤務した動物病院は体育会色が強めで、常に先輩より先に帰ってはいけないという空気感がありました。

 全ての診察が終わり、掃除などの締め作業が終わったら「終礼・スタッフミーティング」を行っていて、基本的にスタッフはこれが終わらないと帰れません。勤務医も掃除などの締め作業に参加するので、診察中にできなかったカルテの整理や記入は終礼後に残って行いました。結局、この「終礼」に参加しなければ帰れないので、帰れる人は早く帰るという方法はできませんでした。

 「終礼」では、「残業を減らすにはどうすれば良いのか」とか、「飼い主さんを待たせないようにするにはどうすれば良いのか」を話し合っていました。院長は、早く診察が終わった日に限って、「今日ならできるでしょう」と言って、この終礼で話し合いが必要な議題を出します。これでは残業時間を減らすという結論はいつまで経っても出ることなく、問題解決ができるはずもありませんでした。

 

コンサル西川:「院長自身がそういう考えの人だから」に尽きるような話ですね。

 

 

 

■この記事には<後編>があります。<後編>の記事は、こちらからアクセスしてください。
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 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。