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パートで復職した女性獣医師が現在の病院に勤務するまで

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女性獣医師の本音トーク その22 Part1(②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

現在勤務の病院は時短勤務の女性勤務医を雇ったことのない院長。自分の率直な思いを面接でしっかり伝えたことが幸いしました。

【編集部:注】


この病院には働きやすくするためのどんな工夫があるのか、匿名女性勤務医に現在の病院に勤務するまでの経緯からの執筆をお願いしました。


※今回の記事は、前・中・後編の3つに分かれています。


■<中編>の記事はこちら


■<後編>の記事はこちら

○匿名女性勤務医

現在勤務している動物病院は、女性勤務医の復職採用は初めてという男性院長の病院。それでも、院長が努力されて女性獣医師やスタッフに働きやすい環境をつくられている。
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大学を卒業してから現在の病院に勤務するまで

<動物病院A>

 

 獣医学科を卒業後、新卒で勤めた病院です。初任給は21万円、残業代なし、社会保険、厚生年金なし。勤務時間は8:30~20:00、研修期間の3か月は週休1日、その後は隔週2日休みとなりました。

 犬、猫、ウサギの他、鳥類の臨床が得意な病院で、鳥も診れるようになりたかった私は多くのことを学ばせてもらいました。

 

 今から思えば休みは少なく、長時間労働ではありましたが、当時、独身で若かった自分にとっては、苦になるということはありませんでした。

 「臨床獣医師は体力勝負」と先輩方から聞いていたことも大きかったと思います。

 

 大きな不満はない職場でしたが、NPO法人による離島での動物適正飼育活動(主に猫の適正飼育啓発、不妊化、マイクロチップ挿入推進など)に参加できる機会があったため、思い切って退職することになりました。

 

 

 

<動物病院B>

 

 離島の業務を終えた後、学生時代からつながりのあった動物病院の院長からうちに来ないか、と声をかけて頂いたことがきっかけで、入社することになりました。月給21万円、残業代なし、社会保険、厚生年金なし。原則週休2日でしたが、休日に呼び出されることもありました。

 一般診療の他、野生動物保護、野良猫の不妊化など業務が膨大にあり、勤務時間は8:15~21:00以降となることが多く、深夜に及ぶ日も少なくはありませんでした。また、昼食時以外の休憩時間が全く取れませんでした。

 

 さすがに過労からくるのであろう肉体的、精神的な疲労感から気が滅入り、仕事が辛いと感じる日々でした。

 人間らしい生活がしたい、そう切実に願っていました。院長は社会的な使命感が強く、仕事熱心であり、人として獣医師として非常に尊敬できる人ではありましたが、心身の不調に耐え切れず、およそ2年で退職する決断をしました。

 

 

 

<動物病院C>

 

 体調が整った後に再び仕事を探し始め、入社することになった病院です。女性院長の小さな病院でした。月給26万円、残業代なし、社会保険、厚生年金なし。勤務時間は8:30~19:30、完全週休二日制でした。

 大きな不満はありませんでしたが、診療や手術件数が少なく、やや物足りなさを感じていました。

 3年間ほど勤めた後、結婚に伴う引っ越しにより、退職することになりました。

 

 

 

<動物病院D>

 

 結婚後は、動物病院勤務では家庭との両立が難しいと考えたことや、臨床を離れたいとの思いにかられ、ペット保険会社に契約社員として入社しました。月給22万円、残業代支給、社会保険および厚生年金加入、勤務時間は9:00~18:00、完全週休二日制でした。

 在職中に第一子を妊娠し、産休・育休取得後に復帰予定でしたが、やはり臨床に戻りたいとの気持ちが強くなり、退職を決断しました。

 

 その後、できる限り自宅近くで働きたいと考え、求人サイトや近隣の動物病院のHPを片っ端から検索しました。

 たまたま自宅から車で10分ほどの病院のHPに獣医師募集の記載を見つけたため、即応募を考えました。

 

 しかし、1歳になったばかりの子供がいて、臨床のブランクがあり、勤務時間の制限があるというだけで門前払いかもしれない…そんな不安でいっぱいでした。応募電話の段階でこちらの不利な条件はある程度伝えましたが、幸い面接の機会を頂くことができました。獣医師が1人、急に退職したので、できるだけ早く働いてくれたらありがたい、とのことでした。

 

 面接時、3年近くの臨床のブランクがあることや、最長でも18時までしか勤務できないこと、子供の体調によっては急な欠勤の可能性があることを伝え、了解を頂くことができました。

 院長も2人の子供を持つ父親であったため、比較的理解があったのかもしれません。それでもこれまでパートの獣医師を雇った経験はなく、私が初めてであるとのことでした。「こちらも経験がないので分からないけれども、まずは働いてみて、今後困ったことがあれば相談しながらやっていきましょう。」

 

 当然難色を示されると覚悟していたため、拍子抜けするほど淡々と話がまとまりました。日給14000円、残業代あり、社会保険、厚生年金なし、勤務時間は8:30~18:00、週4日勤務の条件で入社することになりました。

 

 

 

■この記事は<中編>へと続きます。<中編>の記事は、こちらからアクセスしてください。
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 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。