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ママ獣医師として働きながら悩んだこと

女性獣医師,復職,動物病院,家事,育児,問題

女性獣医師の本音トーク その26 Part2(女性院長から男性・独身女性獣医師へのメッセージ)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

獣医師として働きながら悩んだこと 〜男性獣医師や独身女性獣医師にわかってほしい、育児・家事のこと 後編~

【編集部:注】


Part1では主に保育園へお子様を預けるときに起きた具体的な出来事や悩みを赤裸々に語っていただきました。Part2では通院時のお話の続きから、そして家事についてのお話も伺っています。


■Part1(前編)の記事は、こちらからアクセスしてください。

○匿名女性院長
女性獣医師,復職,動物病院,家事,育児,問題

≪ 通院 ≫ ※前回の続き

 子どもが1人で病院に行けるようになっても、血液検査とか病状説明とか薬の変更などの際には「来てください」と言われました。大体その時間帯は私も診察中で動物病院を出るに出られない状態です。

 「電話で説明はだめですか?」というと、「直接会ってお話ししないといけない決まりです」と言われました。「では、子どもに説明するか紙を渡してください」というと、「未成年なのでダメです」と言われるため、病院に出向かないと子どもは帰れないし、薬ももらえない。

 

 結局、いつもと違う事態が起こった時に親として子どもにしたいと思うことが満足にできず、いつしかそれがフラストレーションになっていきました。子どもに対しても申し訳ないと思うことも増えました。

 

≪ 家事と仕事の関係 ≫

 朝は戦争です。

 お弁当と朝ごはんを作り、子どもを起こして登校させる。 

 その流れの中に洗濯物を干すという作業が入ると時間が足りなくなります。

 

 家に帰ったら、晩御飯の支度や片付けが待っています。

 夕食の買い物が必要になるとまた大変になりますので、平日に買い物に行くことは極力避けたいです。

 

 家事は日課ですので、後回しにしてしまうと散らかりたい放題になります。

 こんな光景はどこのご家庭でも一緒で、獣医師だから特別ということはないです。

 

 

 どこのご家庭の主婦もそうなのですが、年々、家事が上手になります。

 例えば結婚当初や子どもが生まれた後は、時間配分や生活環境が大きく変わりますので、ペースがつかめず本当に大変になります。食事や洗濯、掃除といった当たり前にやらなければならない家事が思った通りにできなくなることは、珍しくないでしょう。

 

 主にこのような家庭内の仕事は女性がやることが多く、女性の仕事と思われがちです。

 男性も母親が主にこのような家庭内の仕事をしているケースが多いため、やろうとしても要領を得ないことが多いかもしれません。

 家事に費やする時間は人それぞれ違うかもしれませんが、1日に最低でも5時間ぐらいになるのではないでしょうか?

 

 

 獣医師として仕事をして帰宅してもやはり家事という仕事が待っている。でも、やらなければ大切な家庭が成り立たなくなってしまう。こんな思いは職業に関係なくみんなが持っている思いです。

 

 ・買い物に行く回数を減らそう

 ・洗濯は夜干そう

 ・食器を手洗いする時間を減らすために、食洗器を利用しよう

 ・子どもたちにできることは子どもたちにやってもらおう

 ・出したものは出した人が片付けよう

 

 家の中にたくさんのルールやお願い事が増えていってしまいますが、口うるさいなと思わないでほしいです。

 

 純粋に家事という仕事をやっている人からのヘルプなのです。外で仕事をして帰ってきて、また家で仕事をする。それを毎日繰り返すと気持ちが疲弊してしまいます。家の中で、助けてと言いたいのに言いにくい。疲れ果てて家に帰り、助けてほしいから何かを頼むと嫌な顔をされてしまうと「もういいよ」と、言い返す気力もわいてきません。

 

 お互いに疲れて家に帰ります。仕事の内容により疲れの程度は違うと思いますが、同様にみんな疲れて帰ります。それならば平等に家事という家庭内の仕事を家族全員でやるのが普通だと思います。

 それをもう少し全員が理解して実践すれば、仕事と家庭のバランスはもう少しとりやすくなるのではと思います。

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 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。