理想の就職先に出会うにはエージェントの存在がカギ!
女性獣医師の本音トーク その33 Part2(①働く現場の生の声+⑤復職への道)
そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
それは、女性獣医師の存在です。
メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。
女性獣医師が復職するにはどうすればいいのか
【編集部:注】
Part1では、子育て中、および子育てが一段落した「ママ獣医師」の復職を阻む5つのハードルを挙げていただきました。後半のPart2では、ママ獣医師が実際に活躍しているケースの紹介、復職・転職をするにあたって心強いであろう獣医業界専門の転職エージェントの存在についてもお話をされています。
○匿名女性獣医師
小動物臨床現場において、獣医師不足が深刻な問題となっているようです。
特に女性獣医師は、男性獣医師とほぼ同じ数が新卒で小動物臨床に就職するものの、多くは若いうちに臨床現場を離れ、ほとんどが臨床現場に復職しません。若いうちに臨床現場を離れる理由は結婚や出産などのライフステージを考えてのこともあると思いますが、一般的な企業であれば、子育てをしながら正社員としてキャリアを継続する、途中で退職しても子育てが落ち着いてから復職をする女性が多いイメージです。
また、同じ臨床であっても農業共済組合などが運営する家畜診療所に勤める女性獣医師の多くは、結婚や出産後も正社員としてキャリアを継続しています。一方、小動物臨床において、キャリアを継続しながら子育てをしている女性獣医師は、他業種と比べてかなり少ないのが現実です。この差はどこから来るのでしょうか。
また、小動物臨床はスキルさえあれば就職先は動物病院の数だけあるので、家族の都合に合わせて引っ越したとしても仕事に就きやすく、臨床を離れた女性獣医師の中には復職したいと考えている方もいると思います。
にもかかわらず、復職する女性獣医師が少ないのはどうしてでしょうか。
復職したママ獣医師が活躍している動物病院もある!
以上、ママ獣医師が復職できない理由を5つ挙げてみました。
誤解をしてほしくないので一言添えさせていただきますが、私は動物病院側がママ獣医師を雇うために今挙げた問題にすべて対応すべきだと思っているわけではありません。
動物病院は慈善事業ではないので、病院にとって利益のある人員を雇いたいのは当たり前だと思いますし、言い方は悪いですが「足手まとい」を雇う余裕はないと思います。しかし、臨床現場に復職したいけどできないママ獣医師が少なくないのも事実です。
どうすれば彼女たちは現場復帰できるのでしょうか。
最後に、参考になればと思い、最近私が耳にしたママ獣医師が活躍している2つのケースを紹介させていただきます。
1つは、病院の休診時間である12〜16時にママ獣医師の予約診療枠を設けているケースです。
前述のように子供のお迎えなどがあるママ獣医師は、動物病院の診療時間の最後まではいられません。このケースでは、12〜16時に予約診療を入れることで、17時までの勤務であっても、ママ獣医師がより多くの患者さんを担当できるようにしているそうです。
もう1つは、ブランクが長く、新卒と同じくらいのスキルしかない女性獣医師を1から教育したケースです。
この女性獣医師は新卒で動物病院に3年間勤務したもののほぼ雑務しかやっておらず、臨床スキルがほとんどなかったそうです。しかし40歳になってやはり小動物臨床で働きたいと一念発起し、新卒として扱ってくれる院長先生に出会い、経験を積んで、今では立派な戦力として活躍しているとか。
前述のようにママ獣医師の予約診療枠を設けるにしても、その獣医師にスキルがないとできません。しかし、このケースのように1から指導してくださる院長先生に出会えれば、スキルに自信がないママ獣医師であっても臨床現場への復職が可能なのではないかと、希望が持てるお話だと思いました。
理想の就職先に出会うにはエージェントの存在が必要
ママ獣医師に限ったことではありませんが、勤務先の動物病院と獣医師の相性は非常に重要です。個人での行き当たりばったりの転職活動でライフスタイルやスキルに見合った動物病院を探すのは、ザルで水を汲むようなものです。
また、転職活動先の院長先生との面接中に、面と向かって待遇面の希望や休みやすさなどを聞くのが難しい場合もあります。就労時間や休日などの都合がつかないママ獣医師の復職に関しては、獣医師専門の転職エージェントを利用するなど、プロの力を借りることが、彼女たちの復職をスムーズに進める鍵となるかもしれません。
※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。
この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。
これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。