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実は臨床現場は40代・50代の獣医師を求めている!

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女性獣医師の本音トーク その35 Part2(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

臨床現場に戻る「怖さ」について考える ~実は臨床現場は40代・50代の獣医師を求めている <後編> ~

【編集部:注】


前編では、女性臨床獣医師が「臨床現場に戻るのが怖い」と感じてしまう理由について、技術面や知識面ではなく人間関係が大きく関係しているのではないかというお話をしていただきました。後編では対談形式で臨床現場での実情を伺ったほか、40代・50代の獣医師の必要性について触れています。


■Part1(前編)の記事は、こちらからアクセスしてください。

 
○匿名女性獣医師
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【追記  コンサル西川からの匿名女性獣医師への質問】

 

コンサル西川:臨床現場に戻る「怖さ」については、男女差があります。男性の場合、40代、50代を過ぎてから小動物臨床をやはりやりたくて公務員などから転身して臨床に戻ってこられる方がいますが、戻る怖さを言う方はおられません。一方、女性はこの怖さを理由として「戻れない」と言われます。

 実は、臨床現場では、40代、50代を過ぎた方の社会経験が重要だと捉えられているのです。

 動物病院では、ヒトの病院と違って、動物たちは会話ができませんから、患者さんと会話することになります。

 獣医療の知識や技術は現場やセミナーなどでアップさせて行くことは可能ですが、人間関係力、コミュニケーション力については習得が難しい。そこで40代、50代となると、社会経験も豊かなのでこの人間関係力が身についているので、患者さんとの会話がうまく行くので現場復帰は望ましいと考える院長が増えているのです。

 

匿名女性獣医師:そうなんですか。

 

コンサル西川:開業者についてみても、40代、50代での開業者は社会経験を積んできているので、開業後の経営が非常にうまく行っています。つまりは、患者さんのニーズを感じ取って、人間関係力で患者さんからの信頼を得て行くからです。

 実例として、45歳で公務員を辞めて臨床に戻られた先生で、院長から臨床スキルは教えてもらいながら承継して行く予定だったのですが、院長が急に亡くなられて、ほとんど教えてもらわずに引き継いで、そこから技術は独学で勉強してうまくいったというケースがあります。

 このケースから言えることは、患者さんとのコミュニケーションがうまくいくと病院は成長でき、技術面はなんとかカバーできるという点です。

 女性の場合、子育てを経験するということは、色んな困難を通じて社会経験を積んでいることになりますので、臨床に戻ればその社会経験が活きてくるのですが、技術や知識面で怖いという理由で現場に復帰されないのは残念です。

 復帰の際、技術よりも人間関係力、コミュニケーション力の方が大事だという点は、女性獣医師同士ではあまり会話には出ないものでしょうか。

 

匿名女性獣医師:そうですね。私自身も「そうなんだ」と思って嬉しい気持ちになりましたが、「技術面以外の能力が大事だよね」という話を獣医師同士ですることはほぼありません。特に女性同士だと皆無と言っていいくらいです。

 

コンサル西川:人間関係力、コミュニケーション力で患者さんの信頼を得ることは病院経営には大事です。技術面でできないことは復帰後に教えてもらえばできるようになります。ネットセミナーもありますし、やる気さえあれば、1年でかなりスキルはアップさせることはできます。

 技術面で怖がって現場に戻らないのは、もったいない。

 

匿名女性獣医師:動物病院で臨床医を評価してくれるのは、院長1人だと思います。その院長が「あなたの武器はこれだよ」と言ってくれたりすると、すごく自信を持てたりするのでしょうが、勤務医を育てたいと考える院長でない限り、褒めてもらうことは少ないと思います。

 例えば、「あなたの技術力はまだだけど、コミュニケーションをとることはうまいので、あなたの居場所はこの病院にあるよ」というように院長が言ってくれたりすると、勤務医は自信を持てると思います。

 ただ私の経験から言えるのは、院長から評価されることはなかなか無くて、逆に注意されることは多くある。

 そのため、自信を持てなくなるし、獣医師同士の会話も「院長におこられた」と愚痴のような会話ばかりになってしまいます。この注意されたことだけが記憶となって、どんどん現場が怖くなってしまうのではないかと、西川さんと話をしていて気が付きました。

 

コンサル西川:飼い主さんは50代以上が多い。20代、30代の獣医師は子供の年代なので、子供の年代の獣医師と話をするのと、同年代の獣医師と話をするのは違うので、このコミュニケーションの違いで40代、50代の獣医師には臨床現場での役割があるのですが、復帰される獣医師は少ないというのが現状です。

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 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。