あるママ獣医師のこれまでの経歴を聞いてみました
女性獣医師の本音トーク その38 Part１（①働く現場の生の声＋②院長への提言）
そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
それは、女性獣医師の存在です。
メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。
《シリーズ企画 臨床現場復帰までの軌跡 その４》～N女性獣医師のコーチングを活かしたリアルルポ 前編～
【ケース ４】 E女性獣医師（４０代・国立大学出身）
新卒から３年間獣医師２〜３名規模の動物病院で勤務し、結婚して退職。→引っ越しして、非常勤で他の動物病院で勤めて子供ができたので、そこもやめた。
転居先の愛知県にて、子供が２歳の時にそこでもう一度非常勤となり、週２で働く（１年）
２次診療の動物病院で２年非常勤→元の職場へ戻る
２人目が生まれたあと、１年半ほど主婦をして、そのあとから働き始める（非常勤週３日）
【新卒臨床】
Q：新卒３年間は、いかがでしたか？
「よくも悪くも、小動物臨床ってこんなもんか、という感じでした。結構、年輩の院長の動物病院だったので、今思うとひどかった。1人、週１で４０代の獣医師がきていました。
手術は、猫の避妊、去勢、犬も。皮膚のマスをとったりもしました。」
Q：初めての動物病院ですから、よくも悪くも基礎ができた時期ですね。
「名古屋市からあまり遠くなかったのですが、結婚を機にやめました。やめたきっかけも、若かったのでうまく立ち回れなかったのもありますが、院長ともう1人男の先生がいて、その先生が病院を継ぐ、継がないで揉めていたのです。
その若い先生もやめてしまい、長時間の勤務（９：００〜２１：００）も疲れてしまったので、やめました。
当時は夜当番があって、携帯を持たされました。たまにその電話がかかってきて、きつかったです。待遇の悪さに、公務員試験も受けてみましたが、勉強にあまり気も入らなくて合格できず、何年も受けようかなとも思わず、子供が生まれて、子育てをして、また臨床に戻るという、もやもやした感じで過ごしました。」
【子育てだけに専念した時期】
Q：子育て期間中はどのように過ごされましたか？
「上の子が２年、下の子が１年、仕事を休んで育児の期間がありました。上の子の育児の期間では、自分の中で行き先が定まってなかったので、迷走していました。
研究職になりたいと思って、人間のお医者さんの研究室に行きました。そこでは、アルツハイマーの研究をしていて、違う世界が見られて楽しかったです。」
Q：この期間の就職活動はされましたか？
「企業の動物病院に見学に行ったりしました。２件くらい。待遇がいいなと思いました。内容はひどいなと思いました。
大学の同級生が院長をやっていたので、覗きに行きましたが、そこには就職しなかった。（人が合わない、1人の院長先生は、個性が強く人間として合わないなとして、パス。もう１件は、動物病院内の人間関係に問題があるのがわかったのでパス。３件目は、単純に遠すぎて、通勤が１時間以上かかるため、断念しました。」
Q：２人目の育児の時は、どのように過ごされましたか？
「下の子の時は、臨床に戻ることを決めていたので、迷わず、割と楽しく余裕を持って過ごせました。
上の子と年が離れていたので、可愛かったけど、私も年をとっていたのでしんどかった。高齢出産になり、３６歳で産みました。」
【追記 コンサル西川からのN獣医師への質問】
コンサル西川：文中に「内容はひどいなと思いました」とありますが、企業病院がひどいと思った理由は何だったのでしょうか。
N獣医師：予防しかやらせてくれないからそう思ったとのことです。新卒就職ですから、予防だけをして獣医師人生を終えたくはないと考えたのでしょう。
ただ、復職の場合には、この予防だけに携わる働き方は、「あり」だと思います。
【二次診療の動物病院勤務】
Q：2次診療の動物病院では、どんな仕事をされましたか？ 印象はいかがでしたか？
「２次診療は見学に近かったです。独特で、ここでキャリアをつむのは無理だな、と思いました。夜に手術をする病院だったので、手術に入れないのもありました。
給与面が厳しくなってきて、他の動物病院に副業で勤めるのが就業規定で禁止されていたので、退職しました。
やめた直後は、この病院での２年間はなんだったんだろうと思いましたが、CTやMRIの検査ができた職場での経験は、今ではじんわり自分の臨床の役に立っているように思います。」
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※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。
この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。
これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。