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ママ獣医師が小動物臨床に復職できない心理的な理由

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女性獣医師の本音トーク その53 Part3(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

ママ獣医師が小動物臨床に復職できない心理的な理由<後編>

【編集部:注】


※今回の記事は、前・中・後編の3つに分かれています。


■<前編>の記事はこちら


■<中編>の記事はこちら


後編では、小動物臨床現場にママ獣医師が少ないのはなぜか、匿名女性獣医師の方が思う心理的要因の続きのほか、貴重なご意見をいただきましたのでそちらを掲載します。

 
○匿名女性獣医師
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③ゆるく働くことが許されなさそう

 夫や周りのサポートにもよりますが、ママは基本的に子供が小さいうちはある程度仕事をセーブせざるを得ません。

 しかし、ママ獣医師が産前に働いていた動物病院が、ガンガン働いて常に獣医師としてのスキルアップを目指す系だった場合、セーブして働くことなど考えられず、臨床復帰できないケースがあると思います。

 また、飼い主によっては、獣医師に過剰なボランティア精神を期待する方もいて、その期待に答えられず白い目を向けられるのが嫌で、臨床復帰に踏み込めない方もいると思います。

 

④パートじゃやりがいがなさそう

 逆に、どうせ臨床復帰するならバリバリ働きたいと思うママ獣医師もいます。

 しかし、時間的制約が強いママ獣医師は難しい症例を持ちづらく、診療補助、ワクチンや予防などの簡単な症例のみの対応になりがちで、仕事に面白みを感じられなくなってしまうことも。

 それでは何のために臨床復帰したのかわからないので、子供が大きくなるまで待ってからまたバリバリ働けばいい、という思いから臨床復帰しないパターンもあると思います。

 

⑤急いで復帰しなくても、いつでも働けそう

 動物病院への就職は一般企業と比べて簡単で、しかも今はどこも人手不足なため、しようと思えば簡単に復帰できます。

 このため、焦ってキャリアを継続しなくてもそのうちなんとかなると思い、無職期間を楽しんでいるケースも結構あるのではないでしょうか。

 

 

【追記  コンサル西川からの匿名女性獣医師への質問】

コンサル西川:「③ゆるく働くことが許されなさそう」「④パートじゃやりがいがなさそう」「⑤急いで復帰しなくても、いつでも働けそう」については、ママさん獣医師側の意識の問題のように捉えられますが。

 

匿名女性獣医師:ママさん獣医師本人の問題でもあると思います。

 獣医師は、常にプレーヤーでいたい人たちだと思います。しかし、パート勤務になると、サポーターにならざるを得なくなってしまいます。これを「つまらない」と思う人はいるかもしれません。ちょっとわがままな話かもしれませんが…。

 

ブランクが長くなるほど臨床復帰しにくくなる

 以上、小さな子供を育てているママ獣医師が小動物臨床の現場に復職できない心理的要因を考えてみました。最後に挙げたように、小動物臨床は働こうと思えばいつでも働き始められそうな、容易に就職できる職場です。

 しかし、そう思ってなかなか復職しないでいると、どんどんブランクが長くなり、スキル面での心配から復職できなくなるパターンも。

 以前、臨床を続けているママ獣医師の友人から「一生懸命働かなくても、やり続けることが大事だよ!」と言われたことがありますが、ママ獣医師のキャリア継続はこの一言に尽きるのかもしれません。

 

 大学卒業時には獣医師である自分に誇りを持っていた女性獣医師が、子供を産むことでキャリアを失ってしまうのは悲しいことです。私の意見が今後、女性獣医師のキャリア継続において、少しでも役に立てば幸いです。

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 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。