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この業界で生理休暇をいかに取り入れていけばいいのか?

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女性獣医師の本音トーク その10 Part2(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオ が独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

「女性だって働き続けたい!女性の心身を労わる職場づくり」のヒント <後編>  〜生理休暇取得について〜

N獣医師

【編集部・注】

 これは、女性獣医師が働きやすい労働環境をつくるための施策として、女性が求めている「生理休暇」についての記事です。生理休暇は会社や公務員でも制度があってもとりにくいとされていますが、動物病院ではいかに取り入れていけばいいのか、N女性獣医師の提言です。

 また<前編>では、女性の体づくり、複数の方へのインタビューや労働基準法上の「生理休暇」規定などについてご執筆頂きました。

 

 

 <前編>の記事を書いていて不思議に思った。

 生理の軽い女性は、どの程度生理のきつい女性のことを理解するのだろうか。男性には分かりえないと書いたが、重症の女性の痛みは、通常業務をこなせる女性にはわかるはずがないのだ。そして、女性というひとくくりで考えると、おかしなことになってくる。

 

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42名回答(複数回答可)

 

 

 この表をみると、無理して働いている(14名)に対し、軽いので通常業務をしている(18名)、低容量ピルでコントロールをしているので通常業務(4名)という結果である。

 つまり、通常業務ができる人:無理して働いている人の割合は3:2程度となる。このデータはランダムであるので、確実性はないが、体験的にも、半々か、こんなものである。

 

 

 前回の意見をくれた女性院長の病院でも、「具合が悪くて休むスタッフが何名かいるが、その分の仕事を負担する生理が軽い側のスタッフの理解度合いは人それぞれ」という話であった。空気的に、このあたりで具合が悪い女性獣医師の罪悪感が増すのではないだろうか、という推測である。

 

 つまりは、重症→軽症の女性に仕事がいくことになるので、女性同士というのは相談にはのれるが、仕事がのしかかってくると負担になる。お互い、静かな怒りのようなものが発したり、罪悪感のようなものがあって、長くはいられないと思ってしまうのかもしれない。

 

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オープンに話せる職場作りが重要

 男性スタッフは、このことがわからない(告げられない)まま、生理の軽い女性がだまって残った仕事を引き受けるのではないだろうか。そうだとすればこの場合、男性スタッフまで話があがってこないと、男性スタッフも院長も対応しようがないのが実情であろう。

 

 まずは、この「女性から言えない」ということ自体をどうにかオープンに話せるような職場にすると良いのだと思う。まず、採用時の面接で「生理休暇が必要か?」ということを聞く。もし、聞けなければ、アンケート用紙に書いてもらったり、女性の人事が間に入って、それ用のカウンセリングをしたりする。院内に職場カウンセラーやコーチを置くのも、ひとつの手だと思われる。

 

 また、生理のきつい女性は、自分で休みやすい病院を選ぶのが良いとなってしまうが、長く働いていくには、必要なことだろう。また、自分の体のケアは獣医師として働く以上、自分の責任でもある。まずは体を労って、改善できることはしたほうが後々のためにも良いはずだ。

 

 

 院長経験豊富な男性獣医師に話を聞いたところ、こんなメッセージをいただいた。

・・・・・

 「これまでの職場では生理休暇は特に規定していませんね。体調悪ければ休めば良いと思いますが、規定として休めるようにしておくと給与を維持しつつ休めてメリットを感じるのでしょうか。

全体の理解があれば現場は回ると思いますが、低用量ピルで管理されている方、生理でさほど苦労されてない方などからは、急に休まれたしわ寄せがほぼ一方的に押し付けられることになりますので、良い印象はないかもしれませんね。

男女の違いというよりは女性内での違いが本質と思います。人が多い、あるいは御本人のしごとが振替可能であれば機能する休暇だと思います。

仕組みがあるなしよりは、急な休みに寛容なところに勤めて、体調が悪いときは迷わず、休んだほうが良いと思います。

 

 

 院内での対応をどう考えているか、と聞くと、

 

 「個別対応・個別契約する必要があると思います。昔のように、みんな同じルールで働く時代は終わっています。

 女性が働きやすい社会にするというのは大きな流れとして決まっているのですが、「女性が」ではなく「○○な女性が」と細分化しないとダイバーシティではない気がします。

 「生理で辛い人が働きやすい環境を」と具体性があれば協力しやすいですが「女性だから生理があって、だから生理休暇をつくるんだ」みたいなのは、政治的には正しいかもしれませんが、むしろ女性やジェンダーの多様性の軽視にも感じます」

ということなのだ。

 

 女性の中で意見を聞いてみても、マイナスの意見というか、困った人が辛くて大変、といっても、生理が軽い人がその負担について語ることはまずない。しかし、そのあたりの負担の軽減も含め、全体によくするには、生理のきつい女性獣医師への個別対応、というのが良いだろうという結論だ。

 

 

 やはり、先ほども述べた通り、面接時にアンケートなどをとって聞く、などするのが良いだろう。正直、給料が減ったりするのも仕方ないと思う。それは、働いた分で給与を貰うわけで。やはり、うまい方法を考えるのが良いと思う。公務員のように固定給だと、やりやすいのかもしれない。改善できるところを改善しつつ、様子をみながらフレキシブルに変えていくのがおすすめだ。

 

女性獣医師側としての希望:

  • 休みやすい病院を探す。
  • 個別の契約をしてもらう。
  • 生理休暇の設定をしてもらう。
  • 人員を増やしてもらう。

院長がすることアイデア:

  • 女性獣医師の働き方のカスタマイズ
  • 個別契約
  • 人員を増やす
  • ストレスがたまりづらい(カウンセリングなどを月1回するなど)
  • 休みやすい職場づくり(人間関係含む)

自分らしくいられる職場は、女性はもちろん男性も働きやすい

 調べてみて気がつくのは、「個人の多様性を認めるという社会的な方向付け」である。女性獣医師だけでなく、男性獣医師も同じことだと思う。自分らしくいられる職場こそが、一番居やすい環境なのだ。

女性の体のケースは、ひとつの個性に過ぎない、と言えるかもしれない。職場にとっては、マイナスといえばマイナスかもしれないが、ということは、個人の特性を生かし、病院にとってもプラス、本人にとってもプラスの何か、があると良い。

女性獣医師も何か特技を身につけ、完全予約制にしてみるなどもひとつの方法かもしれない。

 

 

■この記事には<前編>があります。<前編>の記事は、こちらからアクセスしてください。
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メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。