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動物病院のリアル~仕事内容~

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女性獣医師の本音トーク その8 Part2(①働く現場の生の声)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

動物病院のリアルな現状について <後編>

 匿名女性勤務医
 
 私は2つの個人動物病院での勤務経験があるので、具体的にお話しします。
 前職を職場A、現職を職場Bとします。

【編集部:注】

 前編ではお給料や労働時間のこと等、様々なお話を聞かせていただきました。個人の動物病院で働いたことがある人なら「あるある」と共感された方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 後編も同じく、個人動物病院で働いている中で感じたことを具体的に語っていただきます。

 

・休みは少ない

 職場Aでは、シフト制の月8日休みですが、先輩が選び終えて余った日が自動的に休みになるため、好きな日が休めたことはありませんでした。

 また、有給が初年度で8日ありましたが、1日も使うことは許されませんでした。

 

 おそらく違法ですが、有給を買い取ると言われ買い取られました。一日あたり3000円くらいだったと思います。退職する際は、有休消化はなく買い取りもありませんでした。

 

 

 職場Bでは、月6日休みです。スタッフ同士の仲は問題ないため、休みで揉めることはありません。有給は労働基準法に則り勤務年数に応じて増えていきます。

 

 祝日やお正月など、動物病院自体がお休みの日は自動的に有給として消化されます。好きな日も休めますが、自動的に無くなる日もあるため有休は全て消化しています。

 

・残業代は少ない

 職場Bは19:00までの勤務ですが、残業代がつくのは20:00以降になります。

 そのため、間の一時間はサービス残業になります。

 タイムカードはなく自己申告制です。残業代は1時間1300円ほどです。

 

 職場Aは19:00までの診察で、19:30から残業代がつくシステムでした。

 掃除や散歩などを診察が終わってからいく決まりがあったので、20:00前に帰れることはありませんでした。

 残業代は1時間1000円ほどでした。

 

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・診察以外にもお仕事はたくさん

 動物看護師がする仕事は全てできる必要がありました。

 犬舎はもちろんですが、掃除、洗濯、電話対応、受付、会計、ブログ・・・など獣医師のスキルと関係ない仕事もたくさんあります。

 

 それでやめてしまう獣医師もいるようですが、個人の動物病院では人数が少ないので求められることが多いですね。

 

・勉強することがとても多い

 人間の医学と同様に、動物の医学も日々進歩していきます。そのため獣医師は働いている限り一生勉強が必要です。

 新しい薬や治療法が出てくるのはもちろん、今までの治療法が違うと証明されたりと変化が著しいです。

 

 今ではインターネットでも調べられるので、古い治療、経験でなんとなく行う治療などでは、飼い主さんの不信感につながってしまいます。

 

 人間のお医者さんと同じだと思いますが、仕事中の空き時間は勉強しますし、休みの日などもセミナーなどで勉強する時間を作る必要があります。

 

・なんだかんだ仕事は楽しい

 動物病院の現場を見ると辛いところばかり見えてしまいます。しかしそれでも仕事を続ける人が多いのは、仕事自体が楽しいからだと言えます。

 

 世の中にはたくさんの仕事がありますが、目の前の相手にすごく感謝されると言う職業は実は少ないと思います。

 もともと動物が好きで獣医師になっているので、弱った動物が自分の考えた治療によって治る事はやりがいがありますし、飼い主さんにもとても喜んでもらえます。

 

 もちろん責任は伴い辛いこともとても多いですが、やりがいや充実感といったものは他の職種に負けていないでしょう。その分仕事が楽しい、続けられると思えるような動物病院を選ぶ必要があります。

 

 

【追記  コンサル・西川からの匿名女性勤務医への質問】

 

 コンサル西川:匿名先生は最初の勤務病院「職場A」の時、労働基準法の内容、例えば、有給で、1日も使うことが許されなかったとか、買い取ったという記述がありますが、これが違法であることはご存じだったのでしょうか。

 

 匿名女性勤務医:労基法については、知りませんでした。多くの獣医師は「職場はブラックである」ことが分かっているという程度です。有給について知ったのは、2件目の病院でした。2件目の今の病院は、院長先生が働きやすい環境をつくってくれる病院なので、この有給の取り方についても、1件目と2件目とでは大きな差があることを感じています。

 

 コンサル西川:匿名先生の仰るとおり、この労基法については、獣医師は大学で教えないこともあって、院長、勤務医ともに知らない方が圧倒的多数です。看護師は専門学校で教えますから、知っています。女性獣医師を働きやすくするには、この労基法を知って、守られるようにすることが最初の一歩です。また、女性獣医師ご自身にとっても、こうした法律や経営について勉強しておくことは自分の労働環境を良くすることにつながります。

 

 

 

■この記事には<前編>があります。<前編>の記事は、こちらからアクセスしてください。
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メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。