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女性獣医師の本音トーク その12 Part2(①働く現場の生の声+②院長への提言)

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女性獣医師の本音トーク その12 Part2(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。

育児中女性獣医師の求職事情 ~ベストは子育てしながら自宅近くで長く勤められる病院~ <後編>

 匿名・女性獣医師

 ○獣医師歴10年目、関東圏に在住。現在、妊娠・出産のため休職し育児中です。

 

 【編集部:注】

 前編ではこれまでのご経験をはじめ、出産後の復職・育児との両立をするにあたって壁になった勤務時間やロールモデルの存在について語っていただきました。後編ではその続きのほか、女性獣医師がスムーズに復職できるにはどうすればいいのか、またどんな環境が働きやすいのか一緒に考えていきたいと思います。

 

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・給与、仕事内容、人間関係

 私が最後に勤めていた動物病院は、エージェントの紹介で就職しました。

 

 エージェントに出していた私の条件は、

  • 診察において、自分の腕試しがしたいので概ね任せてもらえる事
  • 日給20,000円
  • 自宅から通える範囲

 です。

 

 おそらく多くの獣医師が思っている事だと思いますが、獣医になるまでにかかった学費と費やした時間に比べて給与が少ないという事です。

 

 日給20,000円は、動物病院の相場では良い方だと思います。

 1日10時間労働のうち2時間を、みなし残業として手当をつけるという計算でした。

 動物病院自体も、なるべく残業をしない体制でしたので働き易い環境でした。

 仕事内容についても、エージェントに希望を伝えていたので問題ありませんでした。

 人間関係も、看護師獣医師含めて良好でした。

 

 給与・仕事内容については、エージェントを介して紹介してもらえれば問題ないように思います。

 人間関係は行ってみてからでないとわかりませんが…。

 

最後に

 女性の場合は、妊娠・出産により小動物臨床の現場を離れてしまう時期がありますが、子育てをしながらも長く勤められる動物病院があると嬉しいですね。

 

 勤務時間という点で物理的に難しかったり、前例がなかったりと問題点も多くありますが、本当は、好きな小動物臨床を続けたいと思っています。

 私もそうですが、小さい頃から動物が好きで獣医になりたくて、時間とお金と労力をかけて獣医師になられた方が多いと思います。

 せっかく苦労して手に入れた資格ですから、上手く使っていきたいですね。

 できれば、仕事内容も自分の好きな事を続けていきたいですが、子供を持つと夢と希望だけでは生活して行けません。

 

 現在の厳しい小動物臨床の雇用状態から、将来性のある希望に満ちた未来になる事を願います。

 

 

 

 【追記  コンサル・西川からの匿名先生への質問】

 

 コンサル西川:女性獣医師は一旦育児などで臨床現場から離れてしまうと、離れたままの人が多い。その離れた人が戻るとなれば、どういう条件が病院側にあるといいとお考えですか。

 これからの動物病院には、人材不足と物価高の波がやってきます。薬代など、あらゆるものの値段が上がっていきますので、動物病院は値上げしないとやっていけなくなります。どうせ値上げするなら、獣医師の給与も上げたいと考える院長が出てくると思います。

 給与が上がって労働環境が良くなれば、戻ってくる女性獣医師は増えると考えています。

 

 匿名先生:私が一番のポイントとして考えているのは、自宅から近いことです。

 

 コンサル西川:なるほど。パート勤務などの時短勤務で受け入れてくれる動物病院が自宅の近くにあれば、戻る可能性は高くなるということですね。

 その一方で、女性獣医師側にも復帰のためには何が必要でしょうか。

 

 匿名先生:獣医は1日10時間労働が基本ですから、どう働くかについては、家族の協力を得ることが不可欠です。勤務時間と日数は病院側の要請に対して、家族が何日育児のために協力してくるのかで決まると思います。

 また、主婦から復帰する場合は、扶養について調べて知っておくといいかもしれません。税金や社会保障費などで扶養の範囲を超えると負担が大きくなってしまいますので。その範囲を超えたくないと考えるなら、働ける日数は限られてくると思います。

 私は家族が「誰かが家には居るのだから、働いてきたら」と言うので、復職することにしました。

 

 コンサル西川:そんなに早く復帰しようというのは、もともとから考えられていたのでしょうか。

 

 匿名先生:考えてはいませんでしたが、近くの動物病院で週一くらい働けたらと思っていたところ、ネットを見ていて、たまたまその動物病院の求人が出ていたので応募することにしました。

 当初は、在宅で出来るクラウドワークスさんやアニコムさんで子供が3歳くらいまではやっていこうかなと考えていましたが、近くの病院で求人が出ることは滅多にないことなので、チャンスを活かすことにしました。

 

 

 

■この記事には<前編>があります。<前編>の記事は、こちらからアクセスしてください。
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 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。