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この業界は労基法の違法がまかり通る業界なのか?

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女性獣医師の本音トーク その14 Part1(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 2022年1月、メディカルプラザの人材紹介事業ベテリナリオは、現在の人材採用難をどうすれば改善の方向に向けさせられるのかを考え始めました。
 そして、その解決の大きなカギとなる存在に気付きました。
 それは、女性獣医師の存在です。
 メディカルプラザのこれまでのコンサル経験から、「女性獣医師は40歳までに80%以上の方が臨床現場をやめてしまう」ことが分かっています。
 しかしながら、なぜ臨床現場から離れてしまうのか、その理由は調べてもどこにもありませんでした。
 そこで、ベテリナリオが独自に調査することにしました。
 ここに掲載している原稿は、女性獣医師先生がご執筆頂いた原稿をできうる限り「そのまま」掲載しています。先生方にも実際にあった出来事などを事実に即して記述して頂くよう、お願いしております。「匿名」での掲載が多いのも、このためです。


【編集部・注】

 この記事は、既に掲載されている「院長に育児経験がある人だと働きやすいかも 匿名院長夫人」と関連した記事です。

 

<匿名院長夫人(獣医師)の記事はこちらをご参照ください。>

 ⇒女性獣医師の本音トーク その1 Part1(①働く現場の生の声+②院長への提言)

 

女性獣医師,復職,動物病院,残業時間,残業代,時給

残業代が正規に支払われないことを是とする業界 ~ その理由は、時給換算では常勤よりもパートの給与が高くなるから ~

匿名院長夫人(獣医師)

 

 休みがなかなかとれなかったということは、以前お伝えした通りです。

 

 また、働いていた当時はタイムカードがなかったために、労働時間の管理がなされていませんでした。それゆえ、どの程度働いているのかを院長のみならず、自分自身も把握ができていませんでした。

 

 もちろん、休日や夜間の出勤も考慮されず、給料にも反映されませんでした。(給料は固定給・月給制でした。多少のボーナス的なものはありました。)

 知識や経験を得るためには、ある程度がむしゃらに働くことがよしとされる世界であったため、そのような当たり前の勤怠管理ができていなかったのかもしれません。

 

 現在では、タイムカードの導入と診察時間以降(19時以降)の残業手当が出るように改善さました。

 また、病欠以外の有給休暇も積極的にとれるようになり、職場環境もだいぶよくなったと思います。

 

 

 

【追記  コンサル西川からの匿名院長夫人への質問】

 

コンサル西川:8時間以上働いたら、残業手当が出るのが普通です。先生の勤務された動物病院では、19時以降がその残業に当たるのでしょうか。

 

匿名院長夫人:休み時間の13時から16時まではあまり働かない設定で組んでいる感じでした。

 

コンサル西川:その休み時間を利用して、外科手術をしている動物病院が多くあります。

 

匿名院長夫人:その休み時間は、実質的には1時間程度だったので、19時から残業というのもおかしなシステムだとは思っていました。つまりは、2時間〜3時間は休んでいることにして、19時から残業にしていたのだと思います。

 

コンサル西川:これは、業界慣習です。昼休みもサービス残業になっているところが多いです。

その残業手当は、19時以降だと25%増とか、深夜だと50%増とか、実際に正しい運用はなされていましたか。

 

匿名院長夫人:25%増にはなっていませんでした。

この残業代について考えられるのは、日給パートで募集した人と、月給で正規で働いている人とでは、時給計算すると、日給パートの人が高くなってしまうので、夜間の残業代を下げざるを得なくなっているのだと思います。

 

コンサル西川:これも業界慣習です。残業代を労基法の規定通りに25%増で出していない方が普通にある状態になっています。

 

 

 

【編集部・注】

 この残業代の件について、匿名院長夫人(獣医師)に追加の原稿依頼をしました。

 

〜 この業界は労基法の違法がまかり通る業界なのか ~

 私が働いていたときは、8時半~21時程度までの勤務時間でした。

そのうち、13時から16時までは診察業務がないため、休憩時間となっていました。ただし、この休憩時間中も手術やカルテの記載、院内の掃除などを行っており、実際に休憩ができたのは、日にもよりますが30分~1時間程度だったと記憶しております。

 

 おおよその動物病院でそうだと思いますが、昼休みもサービス労働となっている現状があります。

 法廷の労働時間としては、1日に8時間となっていますので、仮にお昼休みをフルで取れていたとしても、それは大幅に超えていました。

 

 

 また、当時は、時間超過分を残業代としては支払われていませんでした。

 現在は19時以降に残業代が出ると改善されたものの、時間外労働として給与の25%割り増し賃金という状態には至っておりません。

 というのも、労働基準法について知らない獣医師が多いこと、また知っていてもそれがまかり通る業界ではないということがあるのかもしれません。

 

 

 また、時給に換算すると、常勤の勤務医よりも日給でのパート獣医師の給料が高くなってしまうことや、労働時間に対しての時給換算が難しいこともあるため(例えば、就業時間は9時からとなっていますが、実際は8時半には出勤している、上記昼休みの扱いなど)、どこの誰を基準として25%増しになるのかがあいまいということもあるのかもしれません。

 

※常勤勤務医の初任給が25万円の場合、1日8時間労働で20日間勤務とすると、時給1,562円となります。一方で、日給パート獣医師においては2万円支払っている場合、時給2,500円となります。

 

 

■この記事には<後編>があります。<後編>の記事は、こちらからアクセスしてください。
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 ※メディカルプラザ・ベテリナリオは、事業承継を通じて、全国10000件の動物病院院長へ直接「情報誌」を発行し続け、2000人以上の院長、獣医師と直接お会いしてきました。

 この情報発信と直接的な繋がりによって、女性獣医師の本音を病院院長に届けて、人材採用難解決の提案をして参ります。

 これにより、職場改善や経営改善に取り組む動物病院をもっともっと増やしていきたいと考えています。